舟型菓子博物館
館長 雛元昌弘 2002.10.25
 舟形容器の菓子に初めて出会ったのは、小学校の頃、岡山県開拓連合会(戦後、職を失った軍人を開拓地に入植させた組織)に勤めていた父が、県北に出張した折りに、「高瀬舟」という舟型の容器に入った菓子を買ってきた時です。ちなみに、森鴎外の小説「高瀬舟」は京都の高瀬川が舞台ですが、この高瀬舟は岡山の高梁川で使われた川舟を京都に移したものです。こちらが本家なのですが、「高梁舟」とは言わず、「高瀬舟」と名付けています。
その後、名栗村カヌー館の計画の仕事をしてからは、仕事で出張するたびに、舟形の菓子を捜しています。

 今のところ、たった9個しか紹介できていませんが、もし、他の舟型菓子があれば購入して紹介したいので、教えて下さるとありがたいのですが。


1.高瀬舟
(有)古見屋羊羹 真庭郡落合町垂水199
〒719-3144 Tel0867-52-0005

 舟形容器菓子に最初に出会った菓子です。50年程前のことになりますが、5年前に老人保健福祉計画の仕事で落合町に行った時に出会うことができ、この町の名産品であることを知りました。
 上の端の方が少し固まって砂糖の結晶のガリガリ感があり、中は適度な甘さの粒アンで好きでしたが、味も形も変わってなくて感激しました。鮭や鮎のように、子どもの時に体験した味は忘れないものです。子ども達には、子どもの時からの食体験を豊かにしてあげたいものです。
 舟は、これが高瀬舟?といいたくなるような、直方体の棒を舳先の部分であわせて折り曲げただけの形ですが、それが、妙にいいのです。抽象的でシンプルな形だけに、イメージが広がり、似せたいのに似ていない、というような違和感をいだかせないのです。
 素材は紙(容器の内側は銀紙張り)で、笹舟をイメージさせるのも、子どもの時に好きになった理由かもしれません。今の子どもにはどうでしょうか?
また、写真の右側のものは、舟形の「山しお羊羹」。味はわすれてしまいました。

 その後、新幹線の岡山駅でも買うことができるのに気づきました。岡山というと、きび団子やむらすずめが有名ですが、高瀬舟もお忘れなく。

2.カヌーだんご
 岩手県新里村は、宮古市に近い閉伊川に沿った町で、カヌーに取り組んでおり、レンタル施設もあります。景観形成計画の仕事を担当したときにこの団子にであいました。ちょうど、国際交流でフィリピンよりクラフトマンがきて実演しており、カヌーの置物も買いました。
 帰りの長旅で斜めにしてしまい、形は崩れてしまいましたが、もとは、まともなカヤックの形をしています。手づくりの、素朴な味で、みたらしのあっさりした餡がかけてあり、餡の甘さと合っていました。
5年以上も前のことなので、今もあるかどうかは不明です。

 ところで、12月14日に、いきつけの「早池峰」という中華料理店で食事をしていると、この新里村がみのもんたのテレビにでていたのです。20年間でガンの発生率が半分に下がった村ということで、カボチャを健康食として導入し、持続して取り組むことにより(この、持続というのが偉いところ)、達成したというのです。常々感じているところですが、ここが岩手県人のすごいところです。
 カロチンやビタミンが豊富で、蒸すとポリフェノールが炊いた場合よりも倍になる、ということから、ガンや風邪にかかりにくい、高齢者が元気で肌がすべすべしている、というのも納得できます。
さらに、テレビを見ていると、調理場の主人と、女性が「新里村」の話をしているではありませんか。聞いてみると、奥さんがこの新里村の出身というのです。この偶然には、びっくりしました。
当社は「名栗村カヌー工房」の計画の仕事を行い、さらに「やさい博物館」を開いていますが、新里村にはその2つの取り組みに関わりがありますが、うれしい偶然が重なりました。カボチャを食べるぞ。

3.柴舟(せんべい)
柴舟小出 金沢市横川7丁目2番地076-241-1454

 生姜味の砂糖を散らした懐かしい煎餅です。子どもの頃に土産で何度か食べたことがあるので、歴史は古いものだと思います(HPで調べると、加賀藩の頃でした)。子どもには、生姜の味が苦手でしたが(砂糖だけの方がいいと思っていました)、この歳になると、変化があって好ましく思います。
平らではなく、カーブしたところが他の煎餅とは違っており、子どもの頃はその形を単に変化をつけるためのデザインと思っていました。
 ところが、5年前に石川県の鶴来町の仕事をした時に、小松空港でこの煎餅に出会った時には、これが舟に見えたのです。実際、柴を積んだ舟が下る姿を写したものでした。

4.四万十川慕情(羊羹)
藤家 中村市天神橋59  0880-35-2920

 合併調査・計画の仕事できて、中村市の商店街をぶらぶらしていて見つけた。きれいな透き通った薄緑色の羊羹で、四万十川の香りの珍しい味がします。名産の海草を使って色と味をつけているようです。
緑色の包装紙はいいのですが、その中の、器がプラスチックなのは、緑色の透明感・清涼感を狙ったのはいいのですが、どうもなじめません。私の場合、和船の木質感のイメージが強すぎるので、若い人たちにはいいのかも知れませんが・・・。また、容量も多すぎるように思います。
せっかく、四万十川のイメージにそった個性的ないい味を出しているのですから、高瀬舟のように、高知県の定番の土産になるよう、さらに工夫が欲しいところです。

四万十川の 青き流れを 忘れめや 上林 暁



5.丸形柿ようかん
(株)扇屋 広島市南区段原南1−19−9

 子どもの頃、私はゴムで包んだ丸い羊羹が大好きでした。爪楊枝でくるっとむける変身する瞬間が面白かったし、ゴムの上からもんで羊羹を柔らかくし、口のゴムを外して、ぐにゅぐにゅ、にょろにょろと押し出して、時間をかけて少しずつ食べるのは、もっと楽しみでした。
 黒色と緑色のものはよく覚えているのですが、柿色のものは覚えていないのに、味は覚えています。父は広島にもよく出張していたので、別の形の柿羊羹を食べたことがあるのかもしれません。
その後、広島に出張するようになって、このタイプの丸い柿羊羹を何度か買いましたが、舟型容器に盛ったものは、今年になって初めて広島空港で見つけました(2002年10月24日)。250円のばら売りのものしかなく、土産にはできないのが残念です。

6.屋形船のもなか
 秋田県か新潟県、あるいは、富山県かもしれません。写真にとり、包み紙もとっておいたのですが、どうしても見つかりません。ホームページでも検索しましたが、見つけられませんでした。どなたか、心当たりがあれば、教えて下さい。
 川に浮かぶ屋形船の最中です。最中の皮が柔らかい曲線を出しており、形も味もいいのですが、私にとっては大きすぎて、甘さに打ちのめされるのが難点でした。2つに分けるのは難しく、一人で食べるには甘過ぎる、さりとて、置いておいてあとで、ということにもなりません。
手間が大変で採算が合わないのかもしれませんが、飽食で肥満が心配される時代ですので、一人分サイズにしてほしいところです。また、箱の中に数が少ないと、値段は高くても、どうしてもみすぼらしくなりのと、事務所などでは人数分買うのは躊躇されるので、ある程度の数にして欲しいところです。

 自分の足で捜すといっても、出張時に空港と新幹線で捜すのは限界になりました。そこで、お歳暮をホームページで捜した際に、舟形菓子についても捜してみました。
 その結果、次の3つが見つかりましたので、取り寄せて食べてみました。ちなみに、上記の6つの舟形菓子のうち、4つ(高瀬舟、芝舟、四万十川、柿羊羹)はホームページで検索できましたので、イベントの際の菓子や贈答品として注文してみてください。
 なお、問題点が1つ。せっかく、みなさんホームページをつくっていますが、ホームページで注文したくなるよう、箱を写すだけでなく、どのような菓子なのかわかるよう、個々のお菓子の写真を載せるべきです。また、菓子を買った人の評価(リンクなど)も欲しいところです。


7.臥竜 舟あそび
10個入 2,000円
吉向堂 田尻武史 長野県須坂市立町1337-1 電話 026-245-0249
第21回全国菓子大博覧会 全菓博会長賞受賞

 長野県須坂市は千曲川に接していますが、このお菓子は、市の臥竜公園の池に浮かぶボートをイメージしたような、太めの安定した形です。
 ホームページを見ていると、舟形タルトはフランスの各地にありそうです。国内にもありました。私自身は、カロリーの多い洋菓子は苦手なのですが、機会があったら本場の味も試してみたいと思います。
なお、愛媛県の肱川に沿った大洲市には臥竜山荘という名亭がありますが、こちらには、舟形菓子はありません。
 味の評価は、下表を参照してください。

8.長良川 ゆらり
24枚 1,050円
伸光製菓株式会社 岐阜県岐阜市乙井778 
電話 0120-224385

 長良川は、上流の清流の町で有名な郡上八幡の盆踊りに踊りに行ったことと、息子と河口近くでセーリングカヌーの名艇アクアミューズに乗ったことがある川です。また、隣の揖斐川沿いの多度町では総合計画と障害者計画を担当しました。
 有名な川なので、舟にちなんだお菓子があるはずだ、とあたりをつけましたが、岐阜駅の商品のホームページにこの「長良川 ゆらり」がありました。
 ところが、せっかく商品が写真入りで紹介されていながら、購入先や購入方法が示されていません。物産館や業界団体のホームページを経て、かなり苦労してようやく製造元に辿りつきました。どうも、今のところ、ホームページは、商品宣伝の媒体として、まだまだ本気で活用されていないようです。
 

9.黒潮物語
14枚 1,500円
株式会社房洋堂 千葉県館山市安布里780 電話 0470-23-5111
第21回全国菓子大博覧会 大臣賞受賞

 館山市は、セーラビリティジャパンの活動で、私は一度、代表の西井さんは数回、アクセスディンギーの試乗会に参加しました。市が2艇を購入しましたので、今後、子どもや障害者のために普及の取り組みが進むと思います。
 各地の観光地と同じで、館山市も観光客は減っているようなので、アクセスディンギーを観光の1つの道具とするとともに、このお菓子も、館山を代表する観光土産の1つになって欲しいところです。
なぜ「黒潮物語」なのかは、食べてみてトロピカルフルーツ」の味がするのでわかりました。ただ、「名も知らぬ、遠き島より・・・」のイメージと、古代ヤマトの軍船のようなパッケージの舟の絵は合わないように思います。証明されていませんが、アウトリガー付きの丸木船セーリングカヌー(沖縄のサバニの祖先のような舟)で、南方から人々は渡ってきたのではないでしょうか?

 なお、隣の富浦町は子ども達が小さい時にずっと夏に通っていましたが、ここのビワようかんはお勧めです。私は、紙の筒に入っていて、押し出して糸で切って食べるのが、面白くて好きです。ビワの舟形ようかんを創ってみませんか?

−お菓子の感想−
菓子名 コメント
臥竜 
舟あそび
@ ブルーベリーの味がパイの風味とタルト生地に合っていておいしい。味はいい。見た目がスウィートポテトに似ているので、ちょっと重たい感じがするが、食べてみるとブルーベリーとのバランスもよく、最後まであきない。
A どっしりと食べごたえがある割には甘すぎないのでしつこくない。
B 生地は甘さが押さえてあり、ブルーベリーの甘さが効いていておいしい。ボリュームがあるので、結構おなかが一杯になる。
C フルーツがおいしいけど、ちょっと甘過ぎるかな。
@ 袋のデザインはすっきりしていてきれい。ただ、和風のネーミングと包装に、中身の洋風がちょっとミスマッチかもしれない。
A 形がかちかち山のどろ舟のイメージ。B ちょっと野暮ったい。
長良川ゆらり @ さくさくして、香ばしいところがおいしいA 変わった風味で意外性がある。材料がいいのでおいしいが、もう一ひねりほしい。少々焦げすぎの感あり。
B 美味しい。
C アーモンドを使った洋風菓子としてよくある味。評価としては普通。
D 食感がいい。チョコとアーモンドの混ざった味はどこにでもよくある味で失敗のない無難な味。
@ パッケージが安っぽいところが惜しいA 袋がありきたりで、つまらない。中身が見える包装の方がいいのでは…。ネーミングはきれいだが、「ゆらり」とした風情が菓子本体にないのがおしい。
B アーモンドがカリカリしていて「ゆらり」とそぐわない。包装がいかにもおみやげ用で、安っぽい。
C パッケージから受ける印象と内容がミスマッチ(和菓子)。どこにでもある菓子だが、舟の形に見立てたのはヒット?
D 材料の表示が欲しい。包装がもう少しオシャレな感じがいいと思う。
黒潮物語 @ 2種類の味が楽しめておいしい。
A フルーツのジャム入りとピーナッツ入りの2種類のハーモニーがいい。
B カリカリ、サクサクという感じの食べ応えが心地よい。ピーナッツの風味落ちが気になった。
C もう少ししっとり感が欲しい。
@ 黒潮物語のコンセプトと、千葉産ピーナツとチョコレート味は合っていない。

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